いよいよ、4月12日に本屋大賞が発表されるということで、一か月ほど前から読書漬けの日々を送っていました。
本屋大賞ノミネート10作品中、読めたのはわずか3冊。
それが『爆弾』、『光のとこにいてね』、そして『方舟』でした。
本当はもう数冊読めるはずだったんですが、PS5の『ホグワーツ』を終え、6月にとしまえん跡にオープンするハリーポッターのスタジオツアーのチケットが取れてしまったがために、『ハリーポッター』を読み返す日々を送っていました。
なんとか「炎のゴブレット」まで読了し、今は「不死鳥の騎士団」を読んでいる途中。
面白いのは面白いが、やはり読み返すとなると長い。
そして結末を知ってしまっている物語程、ワクワクしないものは無い。
やはり物語には、自分をまだ見ぬ世界に連れて行って欲しい、そんな思いに駆られます。
今回読んだ『方舟』は、予定調和な部分が大部分も占めながらも、誰も予期せぬ結末を迎えさせる作品でした。
(ちなみにハリーポッターは、Amazonのオーディブルを平行して利用し、移動中や家事の間も聴き進めています)
『方舟』を読んで感じた事
■設定のために全てが動かされ、予定調和に感じる
岩が地下施設の出口を塞ぎ、脱出するためには1人が地下に取り残され機械を操作しなければならない。
『テイルズオブデスティニー』のリオンかよ、って感じですが、この設定を活かすために全てが動かされているような印象を受けます。
まぁ、そういう設定ありきの話なので、口にするのは本末転倒ですが。
タイミングよく地震が起き、出口がふさがれ、浸水してきて、見知らぬ怪しい家族が迷い込んでて来て、でも食料も電気も十分にあって…と、全ては設定のために仕方ない事ですが、そんな都合のいい事ある?という印象が拭えなかったのが正直なところ。
中盤、主人公とイイ感じになる人妻。
もうフラグでしかないですよね。そして案の定。
何となく先が見えてしまいました。
でも、それこそが作者の罠だったのでしょうね。
エピローグで一気に裏切られました。
たった一文で。世界が反転しました。
人間、結末や答えに「辿り着いた」と思うとそこで思考停止してしまうんでしょう。
予想だにしない展開に血の気が引きました。
まさに「やられた」という感じです。
ただ、あまりに助走が長すぎたのと、登場人物に共感できないので、なにかテレビの向こうで起こっている出来事を眺めているような感じでしたが。
最後に残った人物も、部屋に閉じこもってコミュニケーションが取れなかった親子、人妻に手を出した主人公と、その人妻の旦那で人柄を悪く描写される友人、そして何故かハイスペックな探偵役の従兄・翔太郎。
翔太郎がこの結末を迎えたのは特に予想外でした。
他の小説で言うところのシリーズ物の探偵役のような雰囲気だったので、「え?殺すの??」と素直に驚き。
とにかく異質な存在でしたね。
一人だけ友人グループでもないのにその場にいて、常に冷静。
まさに探偵という役割のためだけに存在していました。
こういう役は死なないって、たかをくくって読んでいる読者を裏切った展開だと思います。
読後に「してやられた」と強く感じる一方で、助走が長すぎる、そんな作品でした。
結末さえ知ってしまったら読まない、仕掛けありきのお話で、プロセスはあまり美しくなかったように感じました。